本好きなあなたは立ち読みってしますか?
書店やコンビニに立ち寄って「あれ、この本面白そう」なんて興味をそそられてついついページをめくってみるっていう経験は誰にでもあるのではないでしょうか?
私も店員さんの視線をうかがいながら、結局2時間くらい書店にいたという経験があります。
どこでも目にする光景、もう文化といってもいいくらいです。
でも、そんな購入前の本を立ったままではなく、椅子にゆったりと座り、おまけにコーヒーを飲みながら読めるという場所があるのです。
まさに「立ち読み文化の革命」ですね。
それが、カフェが併設された書店がある複合施設TSUTAYAエンクロス延岡店です。
今回は、ちょっと都会を感じるこの施設をご紹介してみたいと思います.
何もない駅前に出現した新しい街エンクロス
以前はただの駅だった
実は、TSUTAYAエンクロス延岡店は、駅前の複合施設として作られた店舗です。
この建物ができる前の延岡駅って正直言うと
地方都市にありがちななんのへんてつもない駅。
広場の鳩だけが、かろうじて癒しの空間をつくりだしています。
広場がない頃は駅の真ん前が短時間用の駐車場で、この頃以上に殺風景なものでした。
駅は、電車に乗るためだけのものだったんですね。
そんな駅前風景がガラリと変わったのは、2018年の春の事。
駅舎だけではなく、カフェが併設されたTSUTAYA書店のほかにさまざまなイベントもできる多目的施設として、生まれ変わったのでした。
「カフェ併設の書店なんて都会じゃめずらしくないよ」と思われるでしょうが、人口十数万の地方都市では、まさに革命的でした。
自由を感じられる場所をイメージした空間デザイン
エンクロスの名前の由来は縁が行きかう場所
「エンクロス」の名前の由来には、なるほどと思うところがあります。
「エン」は延岡の「延」と人の「縁」をかけた言葉、クロスは「交差する」。
縁が行きかう場所にしたいという願いがこめられています。
外観の写真を見て、何か気づきませんか?
この建物の一番のコンセプトは、国鉄時代の建物の良さをリスペクトしつつ、現代のデザインに引き継いでいくことだそうです。
リスペクト、ちょっと難しい言葉ですが「尊重する」ことですね。
そう言われてみれば、古い延岡駅の建物の形にどことなく似ています。
古いものをたずねて、新しいものを知る。
ことわざにある「温故知新」というところでしょうか。
それだけではなく、窓の大きさに工夫があって、外から見た時にTSUTAYA書店の内部がよく見え、外に向かって開かれている気がします。
「FREE(自由)になれる場所」というキャッチ・フレーズがあるのもわかります。
夜には、光の樹に明かりがともります。
休止している2階部分はシェードが下ろされていて、ちょっと残念。
地元から全国へすぐれたデザインを
実はこの建物、公益財団法人日本デザイン振興会主催の2020年度グッドデザイン金賞を受賞しました!
以前の駅の建物のシンプルさを残しつつも、すぐれた現代建築になっており、しかもそれが周囲の景観をこわしていないところが、評価されたとのことです。
地元から、発信されたプロジェクトが全国で評価されたというのは、市民としても何となく誇らしい感じがします。
写真を撮っていて思ったのですが、上から見下ろしたアングルが一番写真写りがいいと私は思っています。
しかし、それで撮ろうと思うと、向かいのホテルの客室からでも撮らないと無理なんですよね。
それほど、周囲に自由に入れる高い建物がない(笑)
一階にあるスターバックスコーヒーから、飲み物や軽食をテイクアウトして、2階のTSUTAYA書店でゆっくりと本を選ぶ、その魅力をご紹介したいと思います。
と、その前にカフェのある書店っていったいどんなところから生まれてきたんでしょうか?
立ち読みが書店の利益に変わるカフェ併設書店の魅力
書店のしくみは再販制度と委託販売制度
この前、近所の書店に行こうと思ったら閉店していたよ
書店の経営は厳しいようですね。
この10年で、5000店近くが閉店しているようですよ。
電子書籍やネット販売もあるし、書店はもうやっていけないのかな
そんなことはなくて、今はコーヒーを飲みながら、買いたい本がじっくり選べるカフェ併設型の書店に人気が集まっているんです。
なるほど、買いたい本が時間をかけて選べるとなると利用するお客さんも増えるかもしれません。
書店に本が入荷してくるまでにどんなみちすじを通るのでしょうか?
ちょっと、その仕組みを見てみましょう。
なるほど。
でも、疑問に思うけど、本ってほかの商品と違って値下げとかしないよね。
欲しい本があっても、お財布の中身と折り合わず、あきらめることがあるよ。
本には著作者を守るために「再販制度」というものがあって、値下げとかできないようになっているんです。
それだったら、売れ残ったり、在庫になった本はどうなるの?
「委託販売制度」というものがあって、期限付きで返品できるようになっているんです。
再販制度と委託販売制度という二つの制度で書店の経営は成り立っているんですね。
このような制度で経営が成り立っているといっても、デメリットはあります。
2000年ごろから高い割合をしめている本の返品をどう減らすのかが長年のカギでした。
ゲームやDVDの販売に押されて、本が売れなくなるという状況が続けば、閉店においこまれるからです。
書店が経営を続けていけるかどうかということが、カギなのです。
二つの制度の中で、どうやったら、書店の安定的な経営を続けられるのか。
そこで考えられたのが書店とカフェを経営する事業者がライセンス契約をむすぶカフェ併設型の書店です。
書店とお客さんにそれぞれのメリット
本を買うのに、どんな本なんだろうと中身をパラパラとめくってみたことはありますよね。
もっと、凄い人は本一冊をその場で読んでしまったりとか(笑)
いわゆる立ち読みというものです。
普通の書店では歓迎されないこの立ち読みが、カフェ併設型の書店では、当たり前の行為になるのです。
座り心地の良いソファや椅子で「立ち読みならぬ座り読み」ができてしまうのです。
まさに、立ち読みを逆手に取った経営方法ですね。
図に書くとこんな感じ。
注)カフェの運営は書店なのでコーヒー代は書店に入ります。
お客さんは、カフェでコーヒーをテイクアウトして、周囲を気にせず、ゆっくりと本を選ぶことができます。
書店にはお客さんが買った本の代金が入るとともにカフェのコーヒー代も入ります。
コーヒーや食べこぼしで汚れてしまった本は、チェックの手間はかかりますが、返品ができます。
今まで、利益がでなかったもので利益を出し、運営を続けていくことができるのです。
これが、カフェ併設型の書店の魅力だと思います。
それでは、TSUTAYAエンクロス延岡店の中に入ってみましょう。
下の通路を通る時にさりげなくTSUTAYAカフェの書棚が見えるところもニクイです。
この施設で、私が一番好きなところは通路が回廊のようになっており、その横には観光協会の売店や待合スペースが設置されていて、歩きながら、すぐに建物の中に入れるようになっているところです。
待合スペースでは、雑誌や小説も読めます。
コンクリート打ち放しと木のぬくもりが不思議な調和を見せています。
電車が到着すると、通路はお客さんでにぎわいます。
駅からの通路は採光のある天井でとても明るさも十分です。
TSUTAYA書店へGO
では、いよいよスターバックスでコーヒーを買い、二階のTSUTAYA書店へ行くぞ!
・・・・とご案内する気持ち十分だったのですが、この記事を書いている時点で、宮崎県が独自の緊急事態宣言を出したことにより、2階部分の利用が全くできなくなってしまいました。
少しでも、雰囲気が伝わればと思い、観光協会の公式HPや、地元の情報サイトの写真を引用させていただきながら、ご紹介したいと思います。
ひたすら、以前行った時の記憶をたどりつつ書きます(汗)
駅前広場に向かって広くとられた窓から見える室内はこの写真の場所でした。
外からは、このおしゃれな椅子が見えます。
この窓から、コーヒー飲みつつ外を眺めると平凡なわが町の駅前がまるで、違う街に来たかのような錯覚を覚えます。
蔵書の数もさることながら、TSUTAYAカフェ初心者の自分としては、カフェ内閲覧の本と販売の本が一緒に置いてあるのも不思議な感じです。
コーヒーのシミとかつけたら、買い取りかなぁなんて余計なことも考えてしまいました。
閲覧した本は返却場所があり、店員さんがまとめてチェックするようになっているそうです。
汚れた本を、くれぐれも書棚に戻されることがないように注意をはらっているのですね。
目を引いたのが文具コーナー。
地元のイオンでも、なかなかお目にかかれないような3,000円以上もする高級ボールペンがありました。
そういう小物を本と一緒に陳列することで、ただの書店ではない付加価値をつけていることを感じました。
延岡駅の駐車場は東と西と北にありますが、エンクロスを利用する場合は、北と西が便利です。
建物内の案内カウンター(現在は、休止中なのでTSUTAYAカフェに上がる階段前に設置)で手続すると2時間無料になります。
駅のみの利用だと、20分から有料になってしまうので、断然お得ですね!
今日は何読む?おすすめの本
みんなが書き手になる時代の教科書
以前、カフェに行ったときに新刊本ももちろんありました。
今回は、ご案内ができないので、もし2階に上がることができたのだったら、おそらく置いてあったであろう本の中でお気に入りの本を一冊ご紹介します。
TSUTAYAカフェのエンクロス店にいるようなバーチャルな感覚でお読みください。
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あなたは、SNSやっていますか?
スマホの普及で、誰もが気軽に自分のメディアをもてるようになりました。
一日、一回は携帯で何らかの文章を書いているという人は少なくないと思います。
自己満足で書いているうちはいいのですが、そこは人間、そのうちもっと人から読まれたい、アクセス集めたいという欲が出てきます。
そんな時のヒントになると思ったのがこの本。
バズる書き方
著者 成毛 眞(なるけ・まこと)
1986年に日本マイクロソフト社の代表取締役を経て、現在では書評サイト「HONZ」の代表をつとめる。
フォロワーは4万人越え。
この本は「文章術」の本なんですが、「文章力はいらない」っていきなり始まります。
なんか、矛盾してるな~と思いつつ、読み進めていると、なぜそうなのかということが、わかりやすく書かれています。
上手い言い回しなんて考えたりすると余計に書けなかったりするんですよね。
成毛さん自身のSNSを例にとって、ここをこう直したらよくなった、と書いてあるので一目瞭然。
主語がどう、述語がどうなんてむずかしさはないので、すらすら読めます。
文章の一節ごとにポイントがまとめてあるので、内容も把握しやすいです。
教えているのは書き方だけでなく投稿のコツも
インスタやツイッターなどの短い文章では文章力は育たない、ある程度まとまった文章を書くことが必要と言っている成毛さん。
そうは言いながら、しっかりと投稿のタイミングのコツも教えています。
最適な投稿の感覚は〇日に一度とか。
これを知って、ああなるほどな~って思ったよ。
私はツイッターもインスタもやっていないのですが、ブログを書く場合も原則は変わらないのだと思いました。
最後に心に刺さる3つのポイントを上げます。
う~ん、
納得です。
でも結局、文章術の本って読むだけではダメなのもわかります。
書くことでしか、身につかないのですね。
まとめ
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